麻生泰のメッセージ

九州から日本を動かす! Move Japan forward from 九州! (57)
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 病院マネジメントの改革について書いています。全国で200万人の従業員が病院に勤務しています。病院の数はおよそ、8,400病院。多くの専門職が働いている労働集約型事業です。人の命を預かり、治療をして早く社会や家庭に戻してあげる。実に大事な仕事ですが、医療現場には多くのカイゼン余地が残されています。300床以上ある病院を仮に大型病院とすれば、その大型病院の過半数は公的な機関が運営しています。国立、県立、市町村立、そして、日赤、済生会などの公的医療機関です。

 公的医療機関の存在は重要です。先端医療の研究や開発を推進していくという大きな、そして高度な役割があります。そこでは世界の医療と太刀打ちしていく為の研究や実験がなされながら医療現場と向き合っています。離島や人口の少ない、経営が大変な地域への貢献も公的病院の大事な役割です。公的病院では特に、病院マネジメントによる明るい職場づくりが進み、従業員が明るい気持ちで毎日働いていける職場環境になることを私は期待します。

 シアトルにあるバージニアメイソン病院は、トヨタのカイゼン活動を導入して大きな成果を出しています。私はそこのカプラン院長が、17年程前から地元のボーイング社や名古屋のトヨタ自動車などのメーカーの「いかに無駄をなくして従業員の満足度を上げるか」という活動を導入されていることを知り、交流をしています。

 飯塚病院は、現在国内で約40残っている株式会社立病院の1つです。100年前に私の曾祖父が石炭事業で財をなし、地元飯塚の為に創設した病院です。

 カプラン院長と話し合い、もっと患者や従業員の為にカイゼン活動を取り入れた成果を発表していこうと、CHC(Conference for Health Care)という会議を5年前から福岡市、そして飯塚市で開催しました。飯塚病院がコストを負担していましたが、今年からは他の企業からも資金援助をいただき、東京で開催します。アメリカの一流病院はここまでしているのか、やはりリーダーシップ、チームワークづくり、その大前提となる自己病院の使命感、ビジョンづくりを強く、そして、継続的に発表し続けることが鍵であると感じます。二つの病院では改善推進室という専従スタッフを持って院内のカイゼン活動を支援、推進しています。11月9日、10日に経団連会館で開催します。カプラン院長の病院経営、カイゼン実績を直接聞ける機会です。多くの日本のリーダー方がなるほど、これは自分たちも導入してカイゼン成果を出してみようという実例、ヒントが多く出てくるのではないかと思います。ご興味のある方の参加(有料ではありますが)を期待します。

 日本人は現場に存在しているムリ、ムダをなくしていこうというカイゼン文化を身につけているという強みがあるのに、労働集約型の病院でうまく活用されていないというのが何とも残念です。こうした活動を通して、現場は明るくなり、従業員は今までと違ってストレス、リスク、コストの無駄を減らすカイゼン提案を自分たちから出すようになります。そうした活動やそこからの成果が職場へ明るさを持ち込んでくれます。
 発表する「セル看護」の導入では、看護師の満足度が大きく向上していて、帰宅時間も早まり、ナースコールも激減し、看護師の院内を歩く距離も半減しています。こうしたカイゼンを皆でしていく事で、従業員の満足度が上がり離職率が下がるとともに、患者や患者家族の病院に対しての満足度が向上していきます。

 病院マネジメント向上によって、公的病院が毎年必要とされている多額の補助金も削減につながると思います。カイゼン活動をまだ導入されていない病院に、ぜひ検討をしてもらいたいと思います。時間はかかります。飯塚病院でも30年近く、こういった活動をしてここまで来ました。

2018.07.11

麻生 泰