麻生泰のメッセージ

九州から日本を動かす! Move Japan forward from 九州! (61)
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 6月下旬に中国の山東半島にある威海市と栄成市に行ってきました。先方の行政府の長が非常に積極的な感じで九州経済連合会と覚書を結んで、今後の経済交流を発展させることを目指した出張でした。こちらは「売らんかな」の気持ちでしたが、なんと先方は「買わんかな」の気持ちだったのです。中央政府から、この地域はもっと韓国や日本からの輸入を積極的にせよという指示が出ているとのこと。これは一つには中国国民の購買意欲が強いうえに経済水準が向上したことによるものだと説明を受けました。もう一つの理由としては、日本の農水産物の美味しさ、安全さ、そしてこの値段で作り輸出する力がある競争相手国が自国の近くにあるのだと国内の農業従事者に刺激を与えることも考えているようでした。すごいことが中国では起こっているのだなと思います。アメリカが保護貿易に傾くなかで、中国が自由貿易のモデルとなってきているのです。
 早速にも今月、中国当局の行政担当者とビジネスパーソンが来福し、鹿児島産養殖ブリなどの商談がまとまりました。まずは山東省からですが、これから日中両国がさらに接近していくことで、農水産物の輸出を伸ばしていくチャンスがあると思います。中国市場は大きく、山東省だけでも人口は一億人だそうです。我々としては売る力をもっとつけること、そしてこうしたケースを成功に導くことで、九州だけでなく国内生産者の売る力の向上につなげていきたいです。そのためにも、もっとスピード感覚を高めることが必要です。

 養殖ブリの商談を成立させ、さらなる売上拡大が期待される鹿児島県内の漁協の成功要因は、商談に際して中国語によるPR動画を製作したことで、先方も受け入れやすく、かつ、その販売意欲が評価された点もあると思います。こうした対応努力と、「売らんかな」のエネルギーが海外での販売には特に大事です。前回で列記したように、先方は買いたい意欲があり、良い購買ルートを見つけたい。そのためには、値段はある程度なら飲み込む力を持っています。

 熊本県の天草市に本社を置き、ブリやマグロの養殖販売業を営みアメリカ西海岸にも輸出しているブリミー社は、一昨年のイタリア ミラノでのフードEXPOに社長自らが売り込みに行き、新天地を開拓しています。養殖ブリは一年を通して味が均一です。私は釣りが大好きでブリはよく釣っていましたが、夏は脂が落ちて不味いというイメージがあります。しかし、最近の養殖の技術力はすばらしく向上し、夏でも決して味が落ちません。養殖漁業では日本全体の4割を占める九州がまず輸出力をつけ、北欧の鮭を一年中食べるくらいに魚好きなアジアに向けて売り込んでいきます。

 多くの地元の青年たちが、大都会に住んで働くよりも豪快に自然と闘い、生活コストもあまりかからない手取り収入の多い余裕のある生活を楽しみ、さらには海外への飛躍を目指してみようという気持ちになるくらいの貿易実績を出していくことで、日本各地の第一次産業の魅力が向上し、従事者が若返り、そして日本の食料自給率の向上に役立っていけるよう努力していきます。

2018.09.07

麻生 泰