麻生泰のメッセージ

与えられた一度の人生 グローバルシティズンづくり (22)
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 前回のこのコラムで書いた海外の医療関係者への講義に関して、私は気合十分での対応をしたつもりですが、さてそれらが彼等にとってどの程度役立つ講義内容であったのか分かりません。現場ですぐに役立つことを伝えようと、私の誇りであり大きな成果でもある、患者の待ち時間の短縮、患者満足度の向上というテーマでの改善プランを話しました。ところが彼等は、どういう風にして院内の改善活動を、ただでさえ忙しい日々の業務に加え、給料が増えるといったメリットもないのに医療スタッフ達に協力を取り付けたのか、そこが知りたいというのです。

 来月にもう一度チャンスがあるので、わざわざ国費と時間を使って日本に来ている高官たちの要望をしっかりと理解しての講義にしようと思っています。日本の国公立の病院では残念ながら、ごく一部の病院を除いてこのような活動はまだ十分には浸透していません。

 私が思ったのは、国内の数多い国公立系の病院の中から、特に実行力に富んだリーダーがいる施設をモデルとして選び、5S運動、カイゼン活動、そしてTQM活動を導入して継続することで、コストやリスクを下げる。さらには、スタッフの満足度も上がることで勤続年数が伸び、患者満足度上昇にもつながる。そのような病院を目指して、ODAやJICAとして働く医療スタッフが研修に来る。そういうモデル病院を複数作れば良いと思います。
 
 そうした院内活動の成果により、政府は医療費や病院への補助金を削減が可能となる。また、それらのモデル病院においてスタッフのコミュニケーション力が向上すれば、海外での存在感を示す効果ももっと出るのではないか、ということです。

 しかも、このような活動が日本で可能なのは、日本の教育レベルの高さ、忠誠心の高さ、チームワークの良さ、というものが根底にあるからです。このことは日本への再評価に繋がると私は考えます。

 こうした現場の日常における活動の中からでも、海外との交流を通して日本の存在感、奥深い教育レベルの高さを知らせることができ、グローバルシティズンとしての自覚をもつ機会になります。現場レベルでの交流がお互いへの尊敬に繋がり、日本人スタッフの自信にもなります。我が国が持っているこれらの強みは、双方にとって今まであまり活用されていませんでしたが、課題、目標、そして時間軸を決めて動かすことで、新しい日本の魅力となるでしょう。

 もう少し私も英語力を磨き、使命感を持って、可能性を追求しながら、地域や国家に役立つよう日々過ごしていきたいと思っています。

2015.08.27

麻生 泰